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2023.10.29
一般的な家の屋根の形状の種類には様々なものが存在し、その種類によっても特徴がことなります。
屋根は私たちが安心して生活するために欠かせないものです。
用途や家を建てる環境によってベストな屋根は異なるので、慎重に検討していく必要があります。
ということで今回は「家の屋根の形状」や形状ごとの特徴、メリットとデメリットを中心に解説していきます。
これから一軒家を建てられる予定のある方は、ぜひ、参考にされてみてください。
まずは、代表的な屋根の種類と大まかな特徴について紹介していきます。屋根の名前を聞いた際に大体のイメージが湧くように、大切な内容に絞って説明していきます。
住宅の屋根として最も一般的といわれる切妻屋根。本を伏せた形状をイメージすれば分かる通り、屋根の2方向に勾配をつけることで三角形のような形になり三角屋根と呼ばれています。
2つの屋根面が交わっている最上部には「大棟」が通っており、屋根を広く使え通気性に優れています。雨漏りリスクやメンテナンス費用が低いのも特徴で、コスパが非常によい屋根といえるでしょう。
寄棟屋根は4方向に傾斜があり、最上部に大棟が通っています。
この大棟がある屋根が寄棟で、対して大棟がない屋根は方形と呼ぶので区別して覚えておきましょう。寄棟屋根は雨や日光など天候の影響を受けづらいので、住宅保護の観点で優れ、長期的に使用するのには最適です。
ただし、寄棟屋根の初期費用やリフォーム費用は比較的割高なので、予算は検討しなければなりません。
よく街中で見かける、四角い形の家に使用されているフラットな屋根を陸屋根と呼びます。
完全にフラットだと雨水を流せないので、陸屋根には多少の勾配や排水溝を取り付けることが義務付けられています。
ただ、勾配を付けてもほぼフラットに近く、他の屋根と比較してどうしても水はけが悪くなってしまう点は注意が必要です。
陸屋根は木造住宅の屋根にも向きません。フラットな形状が、木造住宅の屋根部分に設置するのに不向きだからです。
木造住宅の場合は、柱や壁を支えるため、勾配のある屋根を使用するのが一般的です。
逆に鉄筋コンクリートで建てられたビルやマンションは、陸屋根に向いています。屋根の部分もしっかり骨組みされているので、施工しやすいからです。
陸屋根はオシャレで人気がありますが、使い方によってはデメリットが生じてしまうので導入する際は十分な検討が必要といえます。
最近の新築には、そのデザイン性から、片流れ屋根が多く採用させるケースが増えています。
また、片流れ屋根はコスパを重視したい人にも最適です。写真の通り、1つの面だけが傾斜しているので、雨樋などの部品は1つの方向につければ問題ありません。
ただ、片流れ屋根は住み始めて間もない段階のトラブルが比較的多い屋根です。念願のマイホームを建てた直後に後悔しないためにも、メリット・デメリットをしっかり認識した上で導入するようにしましょう。
近頃の新築では採用させる機会は減りましたが、伝統的な日本家屋の屋根のイメージで、神社やお城でよく使われています。
入母屋屋根は、すでに説明した「切妻屋根の上部の形状」と「寄棟の下部の形状」が結合したような外観が特徴です。
つまり、4方向の屋根面(寄棟)の上に、2方向の屋根面(切妻)が重なった形状といえます。切妻屋根の通気性、寄棟屋根の優れた耐久性と耐風性など、両者の長所が活かされた使い勝手のよい屋根といえるでしょう。
ここからは、形状ごとの具体的なメリット・デメリットをみていきます。どの屋根にもデメリットはあるので、総合的に判断して最も適した屋根を選ぶようにしましょう。
切妻屋根はシンプルな形で屋根面積が小さいため、施工に使用する材料の量やロスを抑えることができます。
そのため、工事やメンテナンスが簡単で防水処理の欠陥も少ないのが特徴です。また、切妻屋根は妻側に※1 ガラリ喚起を設置できる以外に、※2 軒天換気ができる強みもあります。
ちなみに妻側とは、建物の棟に対して直角に接する側面を指します。
このような屋根の形状により、豪雪地域などでは雪の落下位置をある程度予測できるので、事故防止につながるメリットもあります。
デメリットとしては、妻側(ケラバ側)の壁が雨や日光が当たりやすいので、他の壁面と比較して劣化が進みやすい点です。
そのため雨漏りするリスクが高いので、定期的にメンテナンスをおこなう必要があります。
片流れ屋根の主なメリットは以下の通りです。
片流れ屋根は一方的のみに傾斜しているため、構造が非常にシンプルです。そのため、施工しやすく、工事費用や建設費用を抑えられるメリットがあります。
また屋根の形状が単調なので、ソーラーパネルを設置する場合に便利です。
片流れ屋根は、屋根裏のスペースを有効活用できます。屋根裏の外壁部分に窓を直に設置できる構造で、普通の部屋として利用することも十分に可能です
天井を屋根面に合わせるように設計すれば、天井の高さを確保でき開放感のある空間を作れます。
大きなデメリットは、雨漏りしやすい点です。
特に妻側(ケラバ側)と軒先と反対側の壁面に雨や日光があたりやすいので、外壁が劣化して壁面からの雨漏りリスクが高まります。
屋根面積も狭いので雨水を受ける量が多くなり、屋根からも雨漏りするリスクは高いです。
また、棟換気が設置できないことで結露やカビ・サビが発生しやすく、住まいを快適に保てないデメリットもあります。
このように、片流れ屋根はおしゃれで手軽に導入しやすい反面、日常生活を送る上でデメリットが生じる場合も比較的多いです。
まずは業者に相談して、家の屋根として導入することに問題ないか、客観的な意見をもらうのが無難でしょう。
耐風性が高い
寄棟は他の屋根と比較して、耐風性が高いです。風の抵抗力は、風を受ける面積に少なからず比例します。
寄棟は屋根が4方向にあるので風を受ける面積が小さく、抵抗力を分散できます。
だからこそ、高い耐風性が実現できるのです。
家を保護する能力が高い
紫外線や雨は外壁の劣化を進行させます。
外壁を守るには「軒」が必要で、軒がない場合にはメンテナンスの頻度が多くなってしまいます。
寄棟は4方向に軒が伸び、屋根が全ての方向の外壁を保護できるので紫外線の影響をほとんど受けません。家を保護する能力が高い点は、寄棟の最大のメリットといえます。
建築基準法に対応しやすい
設計・施工の面でも非常に扱いやすい屋根です。
特に住宅密集地の場合、隣地斜線制限や北側斜線制限など、建築基準法の制限が出てくる場合は多いといえます。
家を建てる際には、これらの要件をクリアする必要があります。
その点、寄棟屋根はどの方向から見ても同じ形状でバランスがとれているので、斜線制限に対応しやすいです。
片流れ屋根のような1面だけの屋根とは違い、建築コストが高くなります。
形状が複雑な分だけ必要な部材が多く、工期も長くなり施工費が高くついてしまうのが原因です。
初期費用だけではなくメンテナンス費用も高いので、トータルでかかるコストは高くなります。
屋根の4方向が全て傾斜になっているので、屋根裏のスペースは広く取れません。
屋根裏を収納や居住のスペースにしたい場合は、不利な形状といえます。
屋根一面あたりの面積が小さいため、ソーラーパネルの設置には向かないでしょう。屋根が4方向に向いているため、発電効率もパネルの方角によって差があります。総じて南面のパネルに比べて、他の方角の発電効率は悪くなるでしょう。
寄棟屋根は雨漏りには弱いといわれています。理由としては、他の屋根と比べて接合部が多く、隙間ができやすいからです。
特に3枚の屋根材が重なりあう「かき合い」という接合部は、雨漏りが頻繁に発生します。
4方向に雪が積もれば、屋根にかかる負担が分散されるのはメリットといえます。しかし、同時に雪が落ちてくる方向は特定されづらくなるので、事故防止の観点からみると危険は増します。
陸屋根はほぼフラットな形状なので、屋上やバルコニーとして利用できます。家庭菜園やガーデニング、洗濯干場など、スペースの有効活用が可能です。
ソーラーパネルの設置も容易におこなえます。
ただし、陸屋根の構造によってはソーラーパネルを利用できない場合もあるので、確認は必要です。
また、掃除やメンテナンスのしやすさも陸屋根のメリットです。その他の屋根は足場が必要ですが、陸屋根は屋根上を歩行できるので、安全に効率よく作業を進められます。
フラットな形状なので、他の屋根と比較して水はけは悪いです。
水はけが悪いと雨漏りの原因になり、コケやカビが生えて景観も損ないます。陸屋根を住宅の屋根として導入する場合は、防水工事など定期的なメンテナンスが必要になる場合が多いです。
ちなみにベランダや屋上の防水対策には、ウレタン防水やFRP防水、シート防水が適しています。
陸屋根は屋根と最上階の天井の間にスペースがありません。そのため、温度調整が難しく、特に夏や冬はもろに気温の影響を受けてしまいます。夏の暑さについてはウッドデッキを加工するなどして、できるだけ直射日光を屋根にあてない対策が必要です。
一方、冬の寒さの場合は屋根に断熱材や断熱塗料を使用すれば、ある程度は改善できますが、どこまで快適に過ごせるようになるかは定かではありません。
建物の構造によってもどれくらい気温の影響を受けるかは異なりますが、建築前には業者としっかり話し合うことが重要です。
陸屋根はほぼ平なので、他の屋根と違い雪が自然に落ちません。積雪が多い地域だと雪の重さに耐えなくなるので、あらかじめ融雪用の設備を導入するなど対策が必要です。
ただ、融雪さえすれば雪が屋根から落ちて事故につながる危険はないので、豪雪地域などで陸屋根を活用する住宅は増えています。
入母屋屋根は4方向にある屋根面により、雨・風の影響を受けづらいのが特徴です。寄棟屋根の長所である「耐久性・耐風性」を継承しているといえます。外壁が腐食や塗装の剥がれを防止できるので、メンテナンス費用がかからず、長期的な使用が可能です。台風の多い九州・四国地方では、重宝するでしょう。
入母屋屋根は切妻屋根の特徴を合わせ持ち、高低差があり屋根裏が広いので、通気性に優れています。換気性能にも優れ、空気を上手く巡回できる作りになっているので、ダニやカビなどの発生防止も可能です。
風通しがよい屋根なので、暑い夏でも比較的涼しく過ごせるでしょう。
広い屋根裏が室温を屋外に逃さず、冬を暖かく過ごせるのもメリットの1つです。先に説明した通気性のよさと合わさり、光熱費の削減につながります。
建築・メンテナンス費用が高い
入母屋屋根は複雑な構造なので、工期が長くなり人件費がかかります。
また屋根面積が広いので、材料費に加え、メンテナンス・リフォーム費用も他の屋根と比べてかかってしまうのはやむを得ません。デザインや性能だけで決めるのではなく、予算とのバランスを考慮して、長期的な視点で導入するか決める必要があります。
耐震性に不安がある
切妻屋根と寄棟屋根のメリットを兼ね備えた入母屋屋根。ただ、2種類の屋根を複合する構造に加え、日本瓦の重さがあるので他の屋根と比べて重さが際立ってしまいます。
例えば大規模な自然災害があった場合は、屋根を支えきれずに崩壊するリスクは少なからずあるでしょう。
入母屋屋根の導入を考えている場合は、耐震性の弱さに対してどのような対策をすればよいか業者への事前相談が必要です。
ちなみに、最近は重量のある日本瓦ではなく、軽量な屋根材を導入して地震対策をするケースが増えています。
雨漏りが発生しやすい
入母屋屋根は複雑な構造で、多くの部品が組み合わさっています。
この部品同士が接合している部分を「合わせ」といいますが、小さな隙間ができやすく雨漏りが発生しやすい問題があります。
雨漏りの原因を特定して補修するには、それなりの費用と時間が必要です。
施工する職人の腕によっても雨漏りするリスクは変わるので、多少料金が高くても評判がよい業者を選ぶことをおすすめします。
今回は一般的な家の屋根の形状や形状ごとの特徴、メリットとデメリットを中心に解説していきました。
家にまつわる知識は、まだまだ知っておきたいことがたくさんあります。
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