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ガルバリウム鋼板とは?デメリットや採用時の注意点、寿命について解説します

2024.05.31

ガルバリウム鋼板は主に屋根材や外壁材として使われ、特にリフォーム分野で馴染みがある建材です。性能の高さにくわえ耐用年数も長いため、最もコストパフォーマンスが高い建材といわれています。

しかし、同時に「メンテナンスフリーで全く錆びない」と過大に表現される場合も多く、逆に消費者から不安を持たれることがあるのも事実です。

そこで今回は、ガルバリウム鋼板の特徴から寿命やデメリット、扱う上での注意点をひと通り理解できるように解説していきます。

メンテナンス方法、施工業者の正しい選び方も紹介していきますので、ガルバリウム鋼板の管理方法についても身に付けられる内容です。

ガルバリウム鋼板について理解を深め、少しでも素材を長持ちをさせたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。

ガルバリウム鋼板とは

ガルバリウムは「亜鉛・アルミ・シリコン」を組込み合わせた合金で、そのガルバリウムにメッキ処理を施した建材がガルバリウム鋼板です。

ガルバリウムの中心部は鉄(鋼板)で、鋼板がガルバリウムに覆われていることからガルバリウム鋼板と呼ばれています。

耐久性の高さや錆に強い特性があることから屋根や外壁に使われ、他の金属素材と比較してコストパフォーマンスがよい建材と認知されています。

ガルバリウム鋼板の特徴とポイント

ガルバリウム鋼板はアルミニウムの「耐久性・耐熱性」にくわえ、亜鉛の犠牲防食作用による「錆への耐性」も兼ね備えています。

犠牲防食作用とは、ガルバリウムの鉄素材が錆つく前に亜鉛メッキ皮膜が(犠牲となり)錆びることで、素材が錆びる速度を遅らせる効果のことです。

また、かりに亜鉛メッキ皮膜が劣化して鉄素材がむき出しになっても、周りの亜鉛が溶けて素材を保護してくれる作用も(自己修復機能)持ち合わせています。

以前は防食作用を持ち合わせた亜鉛に、メッキ処理を施した「トタン」を中心に使っていました。

しかし、トタンは時間の経過とともに亜鉛が溶けだし防食作用が低下するという弱点も浮き彫りになりました。そこで亜鉛(メッキ皮膜)が損傷したことによって生じる穴を補修する、保護作用(自己修復機能)があるガルバリウム鋼板が開発されたのです。

ガルバリウムはトタンと比較して軽量で耐震性に優れ、加工性があることからも、屋根材として優秀な素材と認知されています。

ガルバリウム鋼板の主な種類

ガルバリウム鋼板は葺き方によって、主に以下の種類に分類されます。

  • 縦葺き
  • 横葺き
  • 瓦調葺き
  • 折板(せっぱん)葺き

それぞれ解説していきます。

縦葺き

縦葺きとは、屋根全体に対し縦方向にガルバリウム鋼板を並べる方法です。

縦葺きには「瓦棒葺き(心木あり・なし)」があり、最近は心木なしと同類である「立平葺き」が主流で新築に導入されるケースが増えています。

施工が簡単で費用も安価な反面、雨樋からオーバーフローしやすいことが問題点として挙げられています。

横葺き

横葺きとは、屋根全体に対して横方向にガルバリウム鋼板を並べる方法です。縦葺きと比較すると、防音性が高いメリットがあります。

横葺きは大きく「断熱材あり/なし」の2種類に分類され、断熱材があるタイプはリフォームなどで導入されるケースが多く高価なのが特徴です。

横葺きは2.5寸以上の屋根勾配がないと施工できません。

勾配が急になるほど屋根全体の面積が広くなり、施工費は高くなるので、デメリットの1つといえます。また、構造の問題で水が流れづらく、雨漏りが起こりやすい(排水性が悪い)デメリットもあります。

瓦調葺き

瓦調葺きとは、地面と平行に葺く方法です。和風住宅に馴染むように、ガルバリウム鋼板を瓦のように葺いていきます。

重量のある瓦に代わり金属屋根材を使うため、屋根全体を軽量化でき耐震性の向上につなげられるのがメリットです。

デメリットは瓦と比較して割高な点、定期的に塗装メンテナンスが必要になるなど、コストパフォーマンスが高くないことが挙げられます。

折板(せっぱん)葺き

折板(せっぱん)葺きは強度がある大きな建物に使用されることが多いです。また、駐車場の屋根など下地が不要な箇所に採用される葺き方でもあります。逆に、折板葺きが一般住宅に使用されることは多くありません。

ガルバリウム鋼板を使用する際の注意点や欠点について

ガルバリウム鋼板を使用する際の注意点・欠点は以下の通りです。

  • 耐熱性が低い
  • 遮音性の低い
  • 傷が付きやすい・へこみやすい
  • 電飾(でんしょく)の危険性がある
  • アルカリ性に弱い
  • 勾配がないと浸水する恐れがある

それぞれ解説していきます。

断熱性が低い

瓦とは違い、ガルバリウム鋼板は金属素材のため断熱性はありません。外壁材として使用している場合、夏場は80℃以上に上昇するケースもあります。

温度上昇を防ぐため、屋根裏や屋根材の下に断熱材を施工したり、遮熱系の塗料を塗ったりするのが一般的です。

遮音性が低い

ガルバリウム鋼板は薄い素材のため、遮音性は低いです。台風シーズンは雨風の音が気になる機会が多くなるでしょう。ガルバリウム鋼板の裏側に制振材を貼り、建物に伝わる振動を抑えることである程度は雑音を防止できます。

傷が付きやすい・へこみやすい

ガルバリウム鋼板は表面のメッキが薄いので、比較的傷つきやすいです。その傷から水分や酸性物質が侵入すると、錆が発生しやすくなるので注意する必要があります。

外部からの衝撃にも弱く、何かの拍子に誤って物をぶつけてしまっただけで、へこんでしまうケースも珍しくはありません。

一度へこみができてしまうと基本的には元に戻せないので、どうしても外部の衝撃によるへこみを回避したい場合は、他の建材を検討する必要も出てくるでしょう。

電飾(でんしょく)の危険性がある

ガルバリウム鋼板とステレンスをはじめ他の素材が接触すると、化学反応である「電飾(でんしょく)」が起こり腐食する場合があります。

ガルバリウム鋼板を使う場合は、素材の組み合わせによって電飾が起こらないか確認が必要です。

アルカリ性に弱い

ガルバリウム鋼板はアルカリ性との相性が悪いため、施工する際は周りの環境への配慮が必要です。

例えば、枯れ葉や木くずなど木材の一部分がガルバリウム鋼板に長く付着すると、素材が変色したり性質が変わったりする場合があります。

自宅はもちろん近所に木や植物がある場合は、つど確認しなければなりません。

勾配がないと浸水する恐れがある

ガルバリウム鋼板は陸屋根など勾配がない屋根の施工には向きません。雨や雪解け水でガルバリウム鋼板の上に水溜りができると、浸水する恐れがあるためです。

横葺きの説明でも書きましたが、ガルバリウム鋼板を施工するには一定の勾配が必要になります。

ガルバリウム鋼板を屋根材として採用する場合は、前提として水溜りになりやすい形状の屋根は避けるようにしましょう。

ガルバリウム鋼板の寿命について

ガルバリウム鋼板の寿命は25年~35年が目安といわれています。メンテナンス方法や頻度によって寿命は左右されるので、劣化の兆候を見逃さず適切なタイミングで点検・メンテナンスを行いましょう。

代表的な劣化の兆候は錆の発生です。とくに錆による「穴あき」はこまめに管理する必要があります。

穴があくと素材の機能が維持されず、あっという間に劣化してしまうからです。逆に穴さえ開かなければ、メンテナンス次第で40年以上持つ場合もあります。

ガルバリウム鋼板を外壁などに施工して20年経過すると、錆や腐食が発生する可能性が高まるといわれています。

錆は軒下など雨があまり当たらない場所や傷・へこみがある箇所、腐食はホコリや湿気が溜まりやすい場所から起こりやすいので、注意が必要です。

その他の劣化のサインとしては、

  • 塗装の剝がれ(紫外線の影響を受けやすい状態)
  • 色褪せ(塗膜の機能が低下している状態)
  • チョーキング現象(触れた際に白い粉がつく)

などがあるので覚えておきましょう。

ガルバリウム鋼板のメンテナンス方法

ガルバリウム鋼板は定期的にメンテナンスをしないと、錆や腐食の影響で想定より早く寿命がきてしまう場合もあります。

ここでは、ガルバリウム鋼板のメンテナンス方法について必要な知識を解説していきます。

メンテナンスのタイミング(目安)

目安として、施工から10~15年経過したタイミングで「塗装メンテナンス」、30年程で「カバー工法」や「葺き替え」を行うのが理想です。ただ、あくまでも目安なので、素材の状態を見たうえでメンテナンスが必要か判断しましょう。

ガルバリウム鋼板にカビや色あせ、チョーキングや苔などが発生したタイミングが、塗り替えを行う一般的なタイミングといわれています。

赤錆が発生する前に塗り替えをすれば、ガルバリウム鋼板を長持ちさせることも可能です。業者によっても異なりますが、塗装は40~80万円前後の場合が多いです。

赤錆や穴あきが発生している場合の対処法

赤錆や穴あきが発生している場合は、塗装メンテナンスではなく「カバー工法」で対応します。

カバー工法には、劣化が進んでいる箇所の上に新しい屋根材でカバーする方法が一般的です。その他、野地板を既存の屋根材上にカバーした後に、新しいガルバリウム鋼板を設置する方法もあります。

費用は80万~200万円前後が相場のようです。

錆を発生させづらくする簡単なケア

普段から自分でケアをするだけでも、錆の発生を抑さえられます。最も簡単にできるケアとしては、ガルバリウムについた汚れを洗い流すことです。

例えば、付着した埃や塩分、鳥の糞尿などを定期的にキレイにするだけでも、錆の発生を抑制するのに効果があります。

洗った後は、水分を忘れずに拭き取りましょう。

ガルバリウム鋼板で施工する業者の選び方

ガルバリウム鋼板を施工できるのは、あくまでも「板金工職人」です。

しかし、ガルバリウム鋼板を扱える板金業者は少ないため、塗装工・瓦葺き工・リフォーム業者などが施工に携わっているケースも少なくありません。

以下の基準を参考にして、ガルバリウム鋼板を扱える専門業者を選びましょう。

  • 「板金工事事業者」かつ「専門の職人」が在籍するか
  •  建築板金責任施工士などの専門資格を保有しているか
  • ガルバリウム鋼板を数種類(4~5個以上)のラインナップから提案しているか
  • 大型倉庫を保有しているか

これらを担当者に直接会って話を聞く際の判断材料にしてみるとよいでしょう。

またGoogleマップの口コミも、確認することをおすすめします。顔が見えない分だけ本音を書いている場合が多いので、参考になるケースが多いです。

まとめ

今回は、ガルバリウム鋼板の特徴から寿命やデメリット、扱う上での注意点などについて解説していきました。

この他にもまだまだ知っておきたい家にまつわる知識はたくさんあります。

ぜひ、その他の関連記事も読んで参考にされてみてください。

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